お酒にまつわる話

アメリカ オレゴン州のピノノワール

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アメリカのカリフォルニアは、高級なワインが多く作られている州。

 

その北側に位置するオレゴン州もワインを作っています。

このオレゴン州の中で一番有名な場所が「ウィラメットヴァレー」。

今回は「ウィラメットヴァレー」について、詳しく説明したいと思います。

 

なお、アメリカオレゴン州のワインセミナーに参加した時のワインについても説明しています。

オレゴン州の土について

オレゴン州は、アメリカの西部、カリフォルニア州とワシントン州の間に位置しています。

州北部のウィラメットヴァレーは、北緯45°あたりに位置し、日本の北海道、フランスの有名なワイン産地であるブルゴーニュ地方と同じ緯度にあります。

一年を通して冷涼な気候で、フランスのブルゴーニュ、アルザス地方に近いです。

また、7月~9月の降雨量はきわめて少ないので、はつらつと酸味があり、果実味が豊かなぶどうが育ちます。

この地域で栽培されている品種で一番多いのは、ピノノワール。
全体で60~70%が栽培されています。

ソーコルブロッサーというワイナリーでは、栽培品種中85%以上はピノノワールだとか。

ぶどう畑は全体として、標高61~305mに位置し、カスケード山脈の西側にあります。

この地域を語る上でとても大切なのが、土壌(Soils)です。

まず、火山性土壌。

カスケード山脈北部にあるマウントフッド。

この山が1,500万年前に噴火し、その際に発生した大規模な溶岩流が長い年月をかけて風化、浸食して形成されました。

特徴として、赤い土で粒がとても細かく、粘土質であること。

そのため、水を良く保つ性質があります。
ワインに赤い果実、なめらかさ、ミネラルやスパイス、時には花の香りを与えます。

次に堆積土壌(たいせきどじょう)。
土地の隆起により形成された2千万年前から4千年前の海洋に堆積した土壌。

火山性に比べると、粒が大きく黒っぽい土。

水の保湿力はあまり良くありません。

砂や泥、水中の成分などが色々と含まれており、ワインに複雑さと力強さ、黒い果実の特徴、ココア、土の香りを与えます。

 

オレゴン州のブドウ栽培地域

 

1.Willamette Valley (ウィラメットヴァレー)
これは、2~7のAVAをまとめた産地となります。

2.Chehalem Mountains (シェへイラム マウンテンズ)
最も標高が高い(540m)産地。
土壌:火山性、堆積、風に運ばれてきたシルト、と多様。

ワインの特徴:豊かで複雑な味わい、みずみずしい果実、スパイス、土の香りを持つワイン。

3.Yamhill-Carlton District (ヤムヒルカールトン)
なだらかな丘陵地帯の斜面、標高61-305m
土壌:砂岩とシルト岩の上に、古代の海洋堆積土壌。

ワインの特徴:黒い果実や力強さを感じ、強めのタンニン、深みのある色。土やトリュフの香りを持つワイン。

4.Ribbon Ridge (リボンリッジ)
最も小さい栽培地域。
土壌:火山性

ワインの特徴:厚みがある味わいで、濃い色合い、黒い果実やココア、黒コショウの香りを持つワイン。

5.Dundee Hills (ダンディヒルズ)
畑は標高90~180mの所にあり、一番高い所が300m。
土壌:80%がJory soil(ジョリーソイル)と呼ばれる赤い土で、火山性の粘土質。

ワインの特徴:透明感のあるシルクのような味わい。チェリーやストロベリーなど赤い果実の香りを持つワイン。

6.Mcminnville (マックミンヴィル)
西側のコースト山脈に隣接する最古で最も複雑な土壌を持つ産地。
土壌:ほとんど堆積土壌、砂岩や泥岩も含まれ、火山性も見られる。

ワインの特徴:目の詰まった濃さ、黒い果実、強めのタンニンと酸味。
スパイスと土の香りを持つワイン。

7.Eola-Amity Hills (エオラアミティヒルズ)
渓谷の中腹に隆起する土地にある産地。
土壌:ほとんど火山性

ワインの特徴:の見応えのある口当たり、強めの酸味。
黒い果実やスパイス、土の香りを持つワイン。

 

セミナー当日のワインリスト

当日のワインリストです。
(価格は希望小売価格で、税別表示)
なお今回は、6のMacminnville(マックミンヴィル)AVAのワインは出ませんでした。

1. Chehalem Pinot Noir Corral Creek 2006 ¥7,200(Chehalem Mountains)
(チェヘイラム ピノノワール コラルクリーク)

2. Adelsheim Vineyard Elixabeth Reserve Pinot Noir 2009 ¥7,800(Willamette Valley)
(アデルハイム ヴィンヤード エリザベスリザーブ ピノノワール)

3. Beaux Freres Pinot Noir The Beaux Freres Vineyard 2009 ¥12,000(Ribbon Ridge)
(ボーフレール ピノノワール ザ ボーフレール ヴィンヤード)

4. Sokol Blosser Pinot Noir Dundee Hills 2010 ¥4,200(Dundee Hills)
(ソーコルブロッサーピノノワール ダンディーヒルズ)

5. Evening Land Vineyards Silver Label Seven Spring Vineyard Pinot Noir Eola Amity Hills 2010
¥5,000(Eola-Amity Hills)
(イヴニングランド ヴィンヤーズ シルバーラベル セブンスプリングヴィンヤード ピノノワール イオラアミティ ヒルズ)

6. Ken Wright Cellars PInot Noir Savoya 2010 ¥7,200(Yamhill-Carlton)
(ケンライトセラーズ ピノノワール サヴォイア)

 

ティスティングは、アレックスさんの意向により後半の4,5,6から始まりました。

共に2010年で冷涼な年で、良いヴィンテージ。
オレゴン州のクラシックなスタイル、豊かな果実味といきいきとした酸味のバランスがパーフェクト。

以下、それぞれのワインをティスティングした感想です。
4. 透明感のある明るい赤色。甘いイチゴやサクランボの香り。
透明感があり、きれいな酸味とやさしさのある果実味。

5. 明るめの赤色。イチゴも感じるが、渋みのあるチョコレートの香り。
おだやかな酸味、ボリューム感のある果実味と樽の風味を感じる。

6. 4,5に比べて明らかに濃いめの赤色。土の蒸れた感じや、濃いベリーの香り。
ギュッと詰まった甘みのある果実味、酸味が強めであるがまとまりがある。余韻が長め。

後半は、3,2,1の順番で。
3,2が2009年、1が2006年。
共に暖かい年で、果実味の厚さ、スパイシーさ、、タンニンの濃さが特徴として現れています。

以下、ワインをティスティングした感想。
3. 少し茶色がかった赤色。白コショウ、ハーブ、濃いめのベリーの香り。
干した果実味とおだやかな酸味、口に含んだときのボリュームが大きい。
渋みも後半になり、グッと押してくる感じ。

2. きれいな赤色。少し煮詰めたようなイチゴの香り、皮も感じる。
落ち着いた酸味、やわらかな果実味が印象的。渋みはこなれていて、ざらつかない。

1. 全体的に茶色が混ざった赤色。乾燥した茎(くき)、熟成感のある香り。
口に含むと茎の香りが広がり、熟成感やスパイスを感じる味わい。なめらかな甘みがある。

アレックスさんから、3はノンフィルター、2はフィルターをかけたワインです、と種明かし。
共に2009年なのに、2がより果実味を感じるのは、フィルターをかけると、熟成してもより果実味が残る傾向があるから、とのこと。

フィルターをかけるか、否か。
これは、ソーコルブロッサーでも三年前から実験的に取り組んでいる課題だそうです。

何故?とアレックスさんに質問すると、「熟成してもきれいな果実味があるワインが好きだからだよ」と答えてくれました。

以上長くなりましたが、セミナーの時の話題として投稿しました。

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